最終更新日:2006年2月1日
子宮筋腫と診断されたのですが、子宮を摘出しなければならないのでしょうか?
検診で子宮筋腫を指摘されたのですが、できれば手術はしたくありません。すぐに手術を受けなければならないのでしょうか。
子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍です。
子宮筋腫(以下、筋腫)は、子宮にできる良性の腫瘍(できもの)です。卵巣ホルモンの影響を受けて、徐々に大きくなりますが、卵巣ホルモンがなくなると自然に小さくなっていきます。
筋腫という診断にまちがいがない限り、筋腫があると言うだけで、命に関わるわけではありません。閉経を迎えればいずれ小さくなってしまうのです。
従って、筋腫があったら全部とらなければいけない、ということは、全くありません。しかし、場合によっては、治療が必要なことがあります。
それは、筋腫があることにより、体にとって不都合な症状が起こってきた場合です。その不都合とは以下の5つのことです。
1.月経過多による貧血。
筋腫があると、月経(生理)の量が増えることが多く、その状態が何年も続くといつの間にか、貧血になってしまいます。でも、この貧血は、徐々に進行するので、体の方が、それにあわせてしまうために、あまり自覚症状が出ません。そのため、知らない間に貧血が進行して、失神したり立てなくなって救急車で運ばれ、初めて貧血に気づく、ということも少なくありません。貧血を放置すると、疲れやすくなるばかりでなく、やがて心臓にも負担がかかって心不全になる危険も出てきます。ですから、貧血になるほど、月経の量が多い筋腫は治療が必要です。
2.月経痛
筋腫だけでは、月経痛(生理痛)はないことが多いのですが、子宮内膜症を合併していたり、筋腫が変性したりして、月経痛が強いことがあります。この場合は、ご本人の痛み次第ですがあまりにもつらい痛みを耐える必要はなく、治療を受ける方が良いでしょう。
3.腹部膨満感、下腹痛
筋腫が大きくなると、骨盤内の臓器を圧迫し、おなかがふくれてきて、苦しくなります。仰向けに寝ていると苦しいので、横を向かないとつらい、などと言うこともあります。月経でなくても下腹部に痛みを感じるようになったり、重苦しく感じるようになります。こうなると、筋腫の大きさそのものが症状を引き起こしているのですから、取り除くか、小さくするかしない限り、症状を取り除くことができないわけです。
4.膀胱症状、排便痛
子宮の前側には膀胱があります。子宮が大きくなると、この膀胱を圧迫して、尿がたまりにくくなります。そのため、トイレが近くなったり、漏れたりするようになります。また、あまり多くはありませんが、後ろ側に筋腫が発達すると、後ろに接する直腸を圧迫して排便時に痛かったり出にくかったりするかもしれません。この場合も、何らかの治療が必要になるでしょう。
5.筋腫以外の悪性腫瘍が疑われる場合。
子供の頭以上の大きな筋腫の場合、術前にはわからないけれども摘出してみたら筋腫よりも悪性の腫瘍であった、ということがあります。(100人に一人か二人)そのリスクがあるときは、手術した方がよいでしょう。
さて、以上のような症状があり、何らかの治療を受けなければいけないとなったとします。すぐ手術でしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
確かに最終的に手術が必要なこともありますが、その前に、月経の量を減らす工夫や、一時的にでも筋腫を小さくする保存的な治療法があります。
手術は、そういうことを試みた後で考えても遅くないことも多いのです。筋腫といわれ、手術をおそれるあまりそれきり病院に行かない、という方もいらっしゃるようですが、手術になるとは限りませんので、ぜひ、専門医に詳しく相談をなさってください。
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